はじめまして。
Pessoa Coffee Roasters 恩田聡一郎です。
少し、自己紹介をします。
高校時代、自転車で帰宅する途中の路で、いつも気にかかっていたお店がありました。前を通ると、いつもなんとも言えない好い香りがして、ある日、私は吸い寄せられるかの如くその店のドアを開けました。
私とスペシャルティコーヒーの出会いは、まさにこの時でした。
そこには豊かな世界がありました。ひとくちに珈琲と言っても、それぞれの豆が、実に様々な個性を持っていることを知りました。
そして私は、そこからひたすらに珈琲を極める道を進んだのでありました。
という訳には行きませんでした。
その時は、珈琲を生業にするということが、どことなく浮世離れした、あまり現実的ではない考えに思えたのです。
高校生の私はまた、この時、文学にも惹きつけられていました。
というのも、梶井基次郎の「檸檬」を読んだのです。
それで将来は文学に携わる仕事がしたいと考え、大学では日本近代文学を専門としました。(文学も浮世離れしているというご指摘はひとまず措いてください。笑)
しかしこれもやはり上手くは行きませんでした。しかし殆どたったひとつ、大学を通して文学に関する、貴重な知識を得ることができました。それは文学は人に教えられるものではなく、自分で学ぶことにこそ意味があるものだ、ということです。
言い換えると、ある人の人生の結晶とも言い得る、良い文学というものは、授業を聞いただけでわかるはずがないのです。だから授業をサボって家で珈琲飲みながら本ばかり読んでいました。笑
つまり、この時私は「経験」がものを言う、ということに気がつきました。自ら気にかかる本を択び取り、自ら読み、自ら考える経験。その経験の蓄積と、人生全体の経験を照らし合わせることによって、少しずつ色々なことがわかってゆく。私は文学からそういう、謙虚な知の在り方、とでもいうべきものを学びました。
しかし、これは結果的に大学とか授業といったものを否定する学び方であり、大学に務めて文学に携わるという私の青写真は脆く崩れ去りました。
つまり将来設計はここで振り出しに戻ったわけです。
私は焦りもある中、文学に教えてもらった信条をもとに、ひとつひとつ経験していこう、新しいことをやってみようと、手当たり次第に色々なことをやってみました。生まれて初めて、畑を耕しました。生まれて初めて、自分で何かを生み出そうとしていました。そして生まれて初めて、珈琲の焙煎をしました。高校生の時に出会った珈琲に、再びしっかりと向き合ったんです。
ここからの毎日はすごく楽しかった。
もちろん今もすごく楽しい。焦りはどこかへ吹き飛んで、色々なことを少しずつ、特に珈琲豆のことを、頭と体を使って学ぶ過程に夢中になりました。
この楽しさを、焼きあがった珈琲の美味しさを共有したいと考えるようになったのは、自然な流れでした。
珈琲が好きな友人を家に呼んで意見を聞かせてもらうところから始まり、ネットショップも開店しました。おいしい!と言ってもらえることが、こんなに嬉しいこととは思いませんでした。
これからも美味しい珈琲とともに、より沢山の人と、この喜び、楽しさを共有するために、色々な試みをして行きたいと考えています。
その情報の中心地として、Pessoa Coffee Roasters のホームページを、ここに開設します。
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